代謝内分泌内科
代謝内分泌内科
代謝内分泌内科では、ホルモンを作る臓器の病気やホルモンの異常をきたす病気を専門的に診療します。内分泌疾患は、多彩な症状を認めますが、すぐに分かる特徴的な症状が現れないことが多く、十分な知識がないと症状を聞いただけでは診断することが難しいといわれております。
なんとなくだるい
首の前部がはれている
安静にしているのに動悸がある
汗をたくさんかくようになった
手や指が震える
顔や手がむくむ
イライラする、落ち着きがなくなった
よく食べるのに体重が落ちてきた
食欲がないのに太ってきた
肌が乾燥する
体が冷えて寒がりになった
便秘になりやすい
月経が不順になった 不妊症
眼球が出てきたような気がする
健康診断などで甲状腺のはれを指摘された
健康診断などで骨密度が低いと指摘された
内分泌疾患には、頻度の高い病気がたくさんあります。いずれも早期発見が非常に重要な疾患ばかりです。症状が当てはまる方や、気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、代謝が高まる(亢進する)ことで症状が現れます。甲状腺が腫れてホルモン産生が増加するバセドウ病が有名ですが、甲状腺が破壊されて一時的にホルモンが大量に分泌される亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎などもあります。
典型的な症状としては、暑がりになり汗をかきやすくなったり、手が震えたり、体重減少、動悸などが現れます。下痢や気持ちが落ち着かない、怒りっぽくなる、疲れやすいなどの症状が出ることもあります。また、眼球が突出して、周りの人に指摘されたり、目が完全に閉じなくなったりすることもあります。多くの場合、まず、抗甲状腺薬による薬物療法が行われます。
橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれる甲状腺機能低下症の代表的な病気です。免疫の異常により炎症が生じ、甲状腺が少しずつ破壊されます。甲状腺の炎症により首が太くなったように感じます。全身の代謝が低下するため、寒がりになったり、体重増加、体温低下、だるさ、便秘、肝障害や脂質異常症などが出現したりします。また、気分が落ち込んだり、不安感が増したりすることもあります。うつ病や更年期障害、脂質異常症として治療されていることもあるので、疑わしい症状があれば、甲状腺ホルモンの検査をお勧めします。
甲状腺腫瘍は無症状のことが多いため、頸部のしこりに偶然気づいたり、健康診断などで指摘されたりする方が増えています。多くは良性腫瘍であり、腺腫様甲状腺腫(せんしゅようこうじょうせんしゅ)、濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)、のう胞などが含まれます。悪性腫瘍(甲状腺がん)は、乳頭がんが全体の90%以上を占めているといわれています。甲状腺に腫瘍がみつかった場合、良性、悪性を判断するために速やかな受診をお勧めします。
副甲状腺の病気の多くは、副甲状腺機能亢進症です。副甲状腺ホルモンの過剰な分泌によって、血液中のカルシウム濃度が上昇し、尿路結石、腎障害、骨粗鬆症や高カルシウム血症による様々な症状(食欲不振、悪心、嘔吐、便秘、倦怠感、筋力低下、精神症状、のどの渇き、多飲多尿など)を引き起こします。血液中のカルシウム・副甲状腺ホルモン(PTH)が高値になることで診断ができます。
副腎は腎臓の上にある小さな臓器であり、ホルモンを作る働きをしています。副腎に腫瘍ができ、ホルモンが過剰に産生されると、太ってきたり、高血圧になったり、糖尿病になるなど様々な症状が起きてきます。副腎ホルモンは人にとって必要不可欠な物質であり、副腎の働きが悪くなる病気は生命に関わることもあります。血液検査のほか、ホルモン負荷試験や各種画像診断等で正確に診断することが重要です。重要な疾患としては、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがあります。
日本人の高血圧の多くは原因が特定できない本態性高血圧ですが、約10%は原因が特定できる二次性高血圧といわれています。そのなかには特定のホルモンが過剰になることで血圧が上昇する「内分泌性高血圧」があります。原発性アルドステロン症はその代表的な疾患で、高血圧症患者さんの5~10%を占めるとされています。高血圧で治療されている方の中にはこういった原因を調べられずに治療されている方も少なくありません。睡眠時無呼吸症候群の合併率も高く、腎臓や心血管系への悪影響が強い疾患ですので、早期診断と治療が重要とされています。原発性アルドステロン症は原因の治療によって、高血圧の治癒が期待できる一方、診断の遅れが合併症につながることもありますので、健康診断等で血圧高値を指摘された方は一度受診ください。
脳下垂体は脳の中心から垂れ下がっている臓器であり、内分泌ホルモンの分泌や尿量を調節する重要な役割を果たしています。脳下垂体のホルモン分泌が増加する病気には先端巨人症、クッシング病、SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)などがあります。顔貌の変化、靴や指輪のサイズ変化が見られたり、高血圧、糖尿病、低ナトリウム血症などから発見されたりすることもあります。逆にホルモン分泌が低下する病気には下垂体機能低下症や中枢性尿崩症があります。倦怠感や食欲不振、多飲・多尿などの症状が出現します。
肥満に伴って関節痛、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、腎障害、睡眠時無呼吸症候群などを合併し、減量が必要とされる病態が肥満症です。単純性肥満と内分泌疾患に伴う二次性肥満があり、単純性肥満でも内臓脂肪の蓄積による内臓肥満は、メタボリックシンドロームの基盤となり、他の生活習慣病や動脈硬化性疾患の危険性が高まるといわれています。重度の肥満症では生活指導とあわせて、薬物療法や超低カロリー食事療法などが行われることがあります。内分泌疾患による二次性肥満の場合は、原因を取り除けば減量できる可能性が高くなりますので、お気軽にご相談ください。
骨粗鬆症は、骨の量と質の低下により骨折しやすくなる病気です。生活習慣病の一つと考えられており、高齢化と共に増加し、予防や早期診断が注目されています。骨粗鬆症には閉経後の女性に多い「閉経後骨粗鬆症」のほかに、甲状腺や副甲状腺など内分泌疾患と関係して起こってくる「二次性骨粗鬆症」もあります。そのため、骨粗鬆症と診断された方も一度、内分泌疾患の精査を行った方が良いと考えます。気になることがある方は、お気軽にお問い合わせください。
痛風は、ある日突然、足の親指などの関節が腫れて激痛を引き起こす病気です。この痛みは発作的であることから「痛風発作」と呼ばれており、「風にあたっただけでも痛い」と例えられるほど激烈です。発作が起こると局所の発赤、腫脹、熱感、圧痛が24時間以内にピークに達し、2~3日は痛みが持続します。その後、痛みは徐々にやわらぎ1週間~10日程度で消失します。好発部位は足の親指のつけ根ですが、足関節や膝関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、手関節、肘などにも生じます。1つの関節に起こる特徴があり、2つ以上の関節に同時に発症することは稀です。痛風は現代医療においては、有効な薬も開発されており、正しい治療を受ければ、これまで通りの生活を送ることができます。しかし放置していると、関節の激痛が繰り返し起こり、発作を起こすたびに病態が悪化します。悪化すると体の至るところに結節(肉芽腫)ができたり、腎臓に悪影響を及ぼしたりするため注意が必要です。痛風にみられる特徴的な症状がある方はお早めに受診ください。